2021/8/9
JPCPA講師の高島昌彦です。
この記事では、「あがり症」「人前で緊張」の克服法についてお伝えします。
想像してみてください。
司会から紹介を受け、あなたは聴衆の前へ。
会場中の視線があなたに集まる。
さて、あなたの身体にどんなことが起こるでしょうか。
強い恐怖や不安、恥ずかしさ…
逃げ出せるものなら、その場から逃げ出したい。
そんな思いになる方もいるのではないでしょうか。
今回の記事では、そのような人前に出ると緊張するあなたに、”あがり症”の克服法をお伝えします。
「えっ!? 克服できるの?」
そう思ったかもしれませんね。
はい、できます。
何を隠そう、私自身が極度のあがり症でした。
そんな私だからこそ、あなたにあがり症の克服法をお伝えできるのです。
そして、この記事を最後までご覧になれば、緊張している自分を好きになる。
そうお約束します。
目次
1 今までのやり方はみんな間違い?
1-1 深呼吸しても緊張はなくならない
1-2 意識が自分に集まると緊張はエスカレートする
1-3 ポイントは意識を相手に向けること
1-4 あがり症克服3段メソッド
2 ①視点変換
2-1 「どう見られているのだろう…」
2-2 過緊張のロケット点火
2-3 カギは「どう見られたいか」
3 ②ラポールリーダー
3-1 あなたは誰と話していますか?
3-2 過緊張のロケットブースター点火
3-3 ラポールリーダーを探せ!(重要)
3-3.1 ラポールリーダーの探し方
3-3.2 ラポールリーダーとつながる
あがり症克服で昔から知られているのは、「手のひらに人という字を3回書いて飲み込む」というものです。
一度は試したことのある方も多いのではないでしょうか。
他にも、ネットであがり症克服の対処法を調べてみると、
など、様々な対処法が紹介されています。
ですが、結論からいうと、これらの対処法を使ってもうまくいきません。
なぜ、そう言い切れるのでしょうか。
それは、多くの人があがり症を克服できていないからです。
つまり、これだけ手軽にできる対処法が紹介されているのに、あがり症で苦しんでいる人が大勢いるということは、いくら続けても解決しないということでしょう。
何より実際に、あなた自身が、そのことを体感なさってきたのではないでしょうか。
実は、これらの対処法は間違ってはいないのです。
ですが、根本が違っていると、対処法は効果を発揮しません。
その根本とは何か?
それは、意識がどこに集まっているかということです。
過去の場面でも、これからの場面でも構いません。
あなたがあがってしまう場面を思い描いてください。
人前に出る。
会場が静まり返る。
みんなの視線が一斉に自分に集まる。
足や声が震えたり、頭が真っ白になったり…
あがり症の症状が、実際に今あなたの身体に起こるようにリアルに思い描いてください。
そして、あがり症の身体症状が起きたら、何度か深呼吸をしてみましょう。
どんなことが起こりましたか?
深呼吸しても落ち着かない、緊張でガチガチのご自身に気づかれたことと思います。
いくら深呼吸をしても、緊張してしまっている自分。
実は、先に挙げた対処法は、どれも意識が自分に集まってしまうのです。
そして、その自分は緊張してしまっている。
つまり、緊張している自分に意識を集中しているわけです。
これでは、あがり症を克服できなくて当然です。
むしろ、ますます緊張をエスカレートさせているといえるでしょう。
人前に出るとあがってしまうのは、意識が自分に集まっているから。
もう、あがり症の原因がわかりましたね。
実際に、あなたがあがってしまった場面をふりかえってみると、納得できるのではないでしょうか。
そして、意識が自分に集まるとあがってしまうということは、その対処の根本も見えてきますね。
そうです。
意識を相手に集めれば、自然とあがらなくなるのです。
では、どうやって相手に意識を集めるのか。
それには、あがり症克服の3段メソッドが効果を発揮します。
というものです。
どのようなメソッドなのか。
これから、一つずつ紹介していきますね。
人前に出て、あがってしまっている場面。
その場面であなたは、
「どう見られているのだろう…」
そう思っていませんか?
そしてそれは、当然といえば当然のことです。
だって、あなたは自分に意識が集まっているのだから。
こんな風に見られていたらどうしよう…と。
そんなネガティブな、見られたくない、思われたくない姿が思い浮かんでいるはずです。
そして、そんな姿に、まさに今の自分がなっている。
過緊張のロケット点火です。
ダメな自分に意識が集まり、ますますダメな自分を認識してしまう。
その証拠に、聞いている人の表情など見えないはずです。
一人ひとり、どんな表情で話を聞いてくれているのか、そんなことには意識が向かわない。
感じているのは、思い通りにならない自分。
足や声の震え
カラカラに乾く喉
「どうしよう、どうしよう」の焦り
逃げ出したいほどの不安感
真っ白のまま、はたらかない頭
・・・
ひたすら、ダメな自分に意識が集まった状態。
その連鎖。
ダメな自分に集中してしまっているのです。
自分に集まってしまっている意識を、相手に向けましょう。
それには、「どう見られているのだろう…」を、「どう見られたいのか」と発想の転換をすることです。
そもそもあなたは、人前で話すあなたを「どう見られたい」のですか?
いかがでしょうか。
考えたことがなかったのではないでしょうか。
それなら、今、一緒に考えてみましょう。
あなたが思い描く「見られたいあなた」はどんな姿でしょうか。
パーティーなのか、プレゼンなのか、商談なのか…
その場面によるかもしれませんね。
そして、場面の他にも、あなたが大切にしている価値観、あなたらしさも影響していることでしょう。
あがってしまう場面で、本当は「どう見られたいのか」。
さあ、その見られたいあなたの姿を、もっとしっかりとイメージしてみましょう。
するとどうでしょうか。
不思議なことに、あなたがイメージしているその映像は、聞き手側からあなたを見ている映像になっていませんか?
これが、あがり症克服3段メソッドの第一段。
『視点変換』です。
『視点変換』のよいところは、人前に出るその瞬間だけでなく、事前にじっくりとイメージできることです。
当日慌ててするのではなく、人前で話す機会があるとわかったら、一人で何度もイメージしてみることをおすすめします。
「自分を知る」ことにもつながりますよ。
さて、再びあがってしまっている場面に戻りましょう。
人前に出て緊張している場面。
あなたの心の中で、このような会話が起きていることと思います。
さて、これらの会話。
一体、誰と話しているのでしょう。
そうですね。
あなたです。
あなたが、あなたと会話している。
自分とのコミュニケーションになってしまっているのです。
では、聞き手の側に立って想像してみましょう。
目の前に自問自答している人物がいる。
こちらには目もくれず、一人で焦って自分自身とコミュニケートしている。
こちらにはたらきかけてこないので、あなたはどうすることもできない。
ただただ、自問自答するその人を見させらている。
しらけてしまいますよね?
ここで、視点を自分の側に戻しますよ。
そんなしらけた空気が会場を包むと、話し手であるあなたはますます焦ります。
「なんとかしないと!」と。
過緊張のロケットブースター点火です。
こうして、ますます意識が自分に集まることで、ますます「あがり症」も深まっていくのです。
これが、あなたが人前で話すときに起こっていることです。
言い換えると、あなたは(無意識に)意識を自分に集めることで、必ずあがる段取りを毎回行っていたともいえるのです。
どおりで、緊張すまいと頑張れば頑張るほど、あがってしまったわけです。
自分で自分に話しかける。
自分とのコミュニケーションになっていたものを、相手とのコミュニケーションにしなければなりません。
とはいえ、「それが苦手だから困っているんだよ」
そんな声が聞こえてきそうですね。
そんなあなたに朗報です。
聞き手の中に、あなたを助けてくれる人がいるのです。
それも、頼んでもいないのに、相手の方から勝手にあなたを助けようとする人が。
そういう、勝手にあなたを助けようとしてくれる人のことを、『ラポールリーダー』といいます。
あなたが人前に立ったら、聞き手の視線に注意を向けてみましょう。
絶対にあなたと視線を合わせない人。
ときおり視線の合う人。
こちらを見てはいるが、あなたが視線を向けると目をそらす人。
あなたといつも目が合う人。
うなづき方にも注意を向けてみましょう。
絶対にうなづかない人。
ときおりうなづく人。
話すたびにうなづく人。
小刻みにうなづく人。
深くうなづいてくれる人。
表情にも注意を向けてみましょう。
あまり表情が動かない人もいれば、あなたの話に一喜一憂するかのごとく、表情豊かに聞いている人もいるでしょう。
そんな様々な聞き手の中で一番あなたの話に反応してくれる人。
あなたが話すたびに、「うんうん」とうなづいてくれる人。
目を輝かせて、あなたを見ている人。
その人が『ラポールリーダー』です。
ラポールリーダーはすぐに見つかります。
そもそも、あなたが口を開くその前から、まっすぐあなたを見ている人ですから。
そして、あなたが一言話すと、深くうなづいてくれる人。
何人かいたら、その中でも一番反応がよい人にしましょう。
あなたが最も話しやすい人をラポールリーダーにします。
ラポールリーダーが決まったら、他には目もくれません。
ラポールリーダー、その人だけを見て、ラポールリーダーだけに話しかけます。
「一人だけに話すなんて、大丈夫なの?」
そんな心配が聞こえてきそうですね。
大丈夫です。
その理由は後回しにして、それよりも、ラポールリーダーとしっかりとつながることを優先しましょう。
ラポールリーダーが「うん、うん」と聞いてくれるので、あなたはどんどん話しやすくなります。
自然と表情が和らぎ、姿勢も変わってきます。
話す声にも気持ちがこもっていきます。
ラポールリーダーとの会話。
相手とのコミュニケーションです。
ここまでくれば、もう大丈夫。
自然と余裕ができて、あなたの視野も広がっていきます。
ラポールリーダーの次に話しやすい人も見つかることでしょう。
そうなったら、ラポールリーダーとその次のラポールリーダー、交互に話しかけていきます。
3番目のラポールリーダーが見つかったら、トライアングルにしてもよいですね。
こうして、自然と会場全体とのコミュニケーションができあがっていくのです。
これが、あがり症克服3段メソッドの第2段、『ラポールリーダー』です。
最後の3つめのメッソドは、ある程度の緊張は、むしろあった方がよいというものです。
何だか騙されているような感じがしますか?
それでは、その理由を、紐解いていきましょう。
「緊張」の対義語を調べてみると、「弛緩(しかん)」とあります。
なんとなく、耳慣れない言葉ですね。
広辞苑で調べてみると、「ゆるむこと。だらしなくなること」とあります。
それでは、聞き手の側に立って、 緊張していない話し手を想像してみましょう。
つまり、「ゆるんだ、だらしない」話し手です。
いかがでしょうか。
なんとなく、見下されたような、小バカにされているような感覚を受けるのではないでしょうか。
人によっては、嫌悪感を覚える人もいるかもしれないですね。
つまり、あなたは緊張することで、人を見下したような、人をばかにしたような話し手だと思われることを避けられているともいえるのです。
今度は、積極的に緊張することのメリット、「よさ」にも目を向けてみましょう。
先ほどに続いて、聞き手の側に立って、適度に緊張した話し手を想像してみましょう。
同じく広辞苑には、「ひきしまること、はりつめてゆるみのないこと」とありますから、そんな話し手をイメージします(実際の人物が思い浮かぶなら、その方で構いません)。
誠実、一所懸命、初々しさ…
その場やあなた方のことを大切にしている。
そのような感覚を受けるのではないでしょうか。
もちろん、過度の緊張は逆効果です。
ですが、適度な緊張は、むしろ効果的なのです。
聞き手に、「この人は誠実な人だ。私を大切に扱ってくれている」
そう思わせるからです。
さらに、ここがポイント。
実は、聞き手に「私は大切にされている!」と意識的に感じさせることは、とても難しいことなのです。
なぜなら、意識的に行うと、それは下心として映りかねませんから。
過度なサービスをしてきたり、媚びを売るような相手に、かえって警戒感を持つ。
実際に、あなたもそのようなご経験があるのではないでしょうか。
ですから、自然と緊張するというのは、実はとても魅力的な行為なのです。
さらに、ここに、ラポールリーダーとつながることで、あなたの緊張が自然と緩んでいくことのよさが加わります。
誠実だ、私を大切にしてくれていると感じさせるあなた。
でも、ともすれば遠慮深そうな、自信のなさそうな、弱々しい感じを与えかねないあなた。
その緊張したあなたが、ラポールリーダーとつながることで、自然と緩んでいく。
活き活きと話し出すようになる。
力あるメッセージを発するようになる。
緊張が緩んでいくことで、誠実さと力強さ、二つの相反するメッセージを発することになるのです。
緊張する自分をきっと好きになる。
その意味を実感していただけましたか?
あがり症の原因は、自分に意識が集まっているから。
その意識を自分ではなく、相手に集めるために、
という、あがり症克服3段メソッドをご紹介しました。
どうぞ積極的に取り組んで、人前で話すあなた自身をもっと楽しんでみてください。
<関連記事> スポットライト効果【心理学用語集】自意識過剰な私の克服法
執筆者:日本実践コミュニケーション心理学協会理事 高島昌彦
教育学部にて自閉症を中心とする発達障害を専門に学び、大学卒業後は、国公立の特別支援学校教員として14年間勤務。
在職中に人間関係のストレスからうつ病を発症し、退職。
同じように苦しんでいる人の手助けをすべく、心理カウンセラーとして独立。
それと共に、自らうつ病を克服した際に用いた心理学、コミュニケーション学を応用し、独自の「必ず役に立つ、体感できる講座」を体系化する。
また、カウンセリング技術研修では、自らの経験から「苦しんでいる人が本当に必要としていること」を第一に、人の心の仕組みの深い理解、プロとしてあるべき意識の持ち方、そして必要不可欠な技術が網羅された、熱い中にも人間味のある講座を展開。
その人柄と他に例を見ない内容から、日本各地で絶大な人気を誇る。
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