イエスセット【NLP実践集】
初対面の相手とラポールを築く

JPCPA理事
高島 昌彦

2021/11/18


JPCPA講師の高島昌彦です。
 

「初対面の人と会話が弾まない…」
「OKをもらうにはどうすればよいのだろう…」
 

恋愛にせよ、営業にせよ、気持ちのよいやり取りを通じて、最終的にあなたの望む返事がもらえるなら、こんなによいことはないですよ。
 

そのような方法はあるのでしょうか。
心理学の観点から、初対面の相手から「イエス」と返ってくるようなコミュニケーションを考察していきます。

 

イエスセットとは?

一般的なイエスセット

あなた 相手

今日はよい天気ですね。

 

天気がよいと気分がいいですね。

 

気分がよいと何かしたくなりますよね?

 

今から一緒にドライブに行きませんか?(本命の質問)

 

 

イエス

 

イエス

 

イエス

 

イエス

このように相手から、「はい」「そうです」などイエスの返事を繰り返しもらう話法をイエスセットといいます。

何度も「イエス」と返事をしていると、次の問いかけにも「イエス」を答えやすくなってしまうという心理学に基づいた交渉テクニックです。

一般的には、イエスを3回もらった後に本命の質問をすると、相手は断れなくなると紹介されることが多いです。
 

心理学を使って交渉を有利に進められるのだとしたら、営業や恋愛などいろいろな場面で活用できそうですね。
 

イエスセット


 

一貫性の原理(心理学的解説)


人は自身の行動や発言、態度などを一貫したものとしたいという心理が働きます。
この心理を「一貫性の原理(法則)」といいます。
この一貫性の原理をイエスセットは活用しているとされています。

つまり、小さなイエスを取り続けることで、その「イエス」と矛盾しない態度を取ろうとする心理に期待しているわけです。


例えば、あなたが会社の同僚に、「今週の日曜日、空いてる?」と聞かれたとします。
その質問に「イエス」と答えた場合、

「じゃあ、日曜日にこっちの仕事ちょっと手伝ってもらえないかな?」と言われたらどうでしょうか?
なんだか、引き受けざるを得ない感じになってしまいますよね。
 


このように、一般的には、一貫性の原理を活用して、「イエス」という答えを繰り返させることで、本命の要求を通しやすくするのがイエスセットと呼ばれています。
 

NLPとイエスセット


ゲシュタルト療法のフレデリック・パールズ
家族療法の創始者、ヴァージニア・サティア
アメリカ臨床睡眠学会初代会長のミルトン・エリクソン

NLPはこの3人の天才心理療法家を徹底的に分析することで、開発されました。


イエスセットは、この3人のうち、ミルトン・エリクソンが多用していたことで知られています(但し、この先を読み進めて行くとわかりますが、ミルトン・エリクソンがしていたイエスセットは、冒頭の例のようなイエスセットではありません)。

イエスセットは使えない?


イエスを繰り返させることで、こちらの願いを聞いてもらえるなら、こんなによいことはありませんよね。

でも、本当なのでしょうか?
 

私とあなたで、ちょっと試してみましょう。

これから、私があなたに質問を4つしますので、答えてください。

高島です。よろしくお願いします。
 

質問① 「今、あなたは私の質問を読んでいますね?」 

答え Yes  or  No 
 

質問② 「あなたは日本語が読めますね?」 

答え Yes  or  No 
 

質問③ 「学校で国語の勉強を習いましたね?」 

答え Yes  or  No 
 

本命の質問 「受講料100万円の講座を開催するので、今すぐ申し込んでください」 

答え Yes  or  No 
 

 


いかがでしょうか。
あなたは、本命の質問、「100万円の講座に今すぐ申し込んでください」に、「イエス」と答えたたでしょうか。
 

「イエス」、とはなりませんよね?
 

このように、「イエス」を何度も繰り返したところで、無理難題に対して思わず「イエス」と答えてしまうほど、人の心は単純ではないのです。
 

一般的なイエスセットは逆効果


そして、本命の質問に「イエス」が取れないだけなら、まだよいのです。
それどころか、安易にイエスセットに取り組むことで、むしろ関係性を悪くしてしまうのです。
 

どういうことでしょうか。

一般的にいわれる、「3回『イエス』を取ってから、本命の質問をする」をシュミレートして考えてみましょう。
 

恋愛でも、ビジネスでもよいです。
相手から3回「イエス」という返事を引き出し、その後で本命の質問(デートに誘う、商品を買ってもらう、契約を取るなど)をするのですよ。

やることはわかりましたか?
下の会話例の「・・・・」のところに、「イエス」と返事の返ってくる質問をしてみてくださいね。
それでは、初対面の人を想像して、イエスセットにチャレンジしてみてください。

あなた:質問①「・・・・・・・・・」
相 手:Yes
あなた:質問②「・・・・・・・・・」
相 手:Yes
あなた:質問③「・・・・・・・・・」
相 手:Yes
あなた:本命の質問「・・・・・・・・」

いかがでしたか?
うまくできましたか?
 

そして、ここからがポイント。
うまくできたにせよ、できなかったにせよ、あなたがイエスセットに取り組んでいた場面を思い返してください。

ポイント


あなたがイエスセットに取り組んでいる間、あなたの意識はどこに集中していましたか?


「思考」、ではないでしょうか?
「なんて質問すれば『イエス』と返ってくるかなぁ?」と、自分の頭の中に意識が集まっていませんでしたか?
 

これは大切なポイントです。
 

恋人になるかもしれない。
あるいは、商品を買ってくれるかもしれない。

そういう大切な人を前にして、あなたは自分の頭の中に意識が集まっていた。
つまりあなたは、大切な人を放っておいて、あなた自身とコミュニケーションしていたというわけです。

これでは、相手に好印象を持ってもらえるわけがありませんね。
こうして、イエスセットが習ったけれども使えないスキルとなっていくわけです。
 

では、どうすれば、ミルトン・エリクソンも使っていたような、効果的なイエスセットができるようになるのでしょうか。

「イエス」と答えてもらう話法


ここではまず、相手から「イエス」と返ってくるには、どのような話しかけがあるのかを考えてみましょう。
大きく分けて3つの話しかけがあります。
 

①必ず「イエス」

a.誰にとっても「イエス」

「もう冬ですね」
「今日は、晴れていますね」
「明日は日曜日ですね」

このように、誰に言ったとしても、100%「イエス」が返ってくる話しかけです。
 

b.二人の間では「イエス」

「ご出身は○○でしたね?」
「お会いするのは2回目ですね」
「今、この文章を読んでいますね」

このように、両者の間では合意が取れていることでも、ほぼ必ず「イエス」が返ってきます。
 


 

「イエス」と返ってこなかったら


100%「イエス」が返ってくるはずなのに、ときには「ノー」と言われることもあります。
例えば、

あなた:「よいお天気ですね」
相 手:「でも、午後から雨になるそうですよ」

このような場合は、次のように対応すれば大丈夫です。
 

あなた:「よいお天気ですね」
相 手:「でも、午後から雨になるそうですよ」
あなた:「ああ、午後から雨になるのですね」

このように、Noで返ってきた返事をそのままバックトラッキングしましょう。
Noという返事にそのままバックトラッキングしていく対応法は、また出てきますので頭の片隅に入れておいてくださいね。
 

②バックトラッキング

相 手:「花の中では、断然バラが好き」
あなた:「花の中では、断然バラが好きなのね」

このように、相手の言葉を伝え返すことをバックトラッキングといいます。
日本語では、「オウム返し」や「伝え返し」と呼ばれることもあります。

バックトラッキング


バックトラッキングを用いることでも、ほぼ確実に「イエス」が返ってきます。
言葉で返ってこなくても、うなづきや心の中で「イエス」をとることができます。


イエスセットに関わらず、バックトラッキングはコミュニケーションの基本となる技術です。
しっかりと習得していきましょう。
 

とはいえバックトラッキングは、適切に使わないと、コミュニケーションがぎくしゃくすることになります。
わかりやすくいうと、「うざい」と思われてしまう。

バックトラッキングについて、詳しく知りたい方は、『バックトラッキング【NLP実践集】うざいを脱却する観点』をご覧ください。

<関連記事>バックトラッキング【NLP実践集】うざいを脱却する観点
 

③推測


100%とはいえないけれど、「多分、相手はこうなのではないかなぁ?」という推測を投げかけていく話しかけです。
観察力や想像力が高まるほど、「イエス」が返ってきやすくなります。

相 手:「私、人前で緊張するんですよ」
あなた:「人前で緊張するんですね」【バックトラッキング】
相 手:「はい」(Yes
あなた:「人前で緊張するということは、初対面の人とかも苦手なんじゃないでしょうか?」【推測】
相 手:「そうなんですよ~。つい先日も…」Yes

「人前で緊張しやすいのだから、きっと初対面の人も苦手だろう」
このように推測したわけです。
一般的に、その可能性が高いですよね。

このように、100%ではないけれど、「恐らくこうではないかなぁ…」と、言葉にされていない相手のことを推し量っていくのが推測です。

ポイントは、相手を感じながら。
 


 

推測は、100%イエスではないからこそ、相手にすると「わかってもらえる」感じになります。
つまり、ラポールが深まっていくのです。

他にも上の例のように、相手が伝えたいことを話題に促す効果もあります。
これも、ラポールが深まるのに有効ですね。
 

Noと返ってきたときには


とはいえ、推測ですから外れることもあります。
でも、大丈夫。
そんなときは、このように対応しましょう。

相 手:「私、人前で緊張するんですよ」
あなた:「人前で緊張するんですね」【バックトラッキング】
相 手:「はい」(Yes
あなた:「人前で緊張するということは、初対面の人とかも苦手なんじゃないでしょうか?」【推測】
相 手:「いや。初対面の人でも、1対1なら大丈夫です」(No
あなた:「ああ、1対1なら大丈夫なんですね?」【Noをバックトラッキング】
相 手:「そうなんです! 1対1なら大丈夫なんですけど、大勢の人の前に立って話すとなると…」Yes

この場合も、Noと返ってきたことに、そのままバックトラッキングしていけばよいわけです。

Noをバックトラッキングすることで、相手は不快になるどころか、むしろ、「そうなんです!」とますます「わかってもらえる」感じを強くするでしょう。

「そうそう、1対1なら大丈夫なのに、大勢の人の前に立つとなると、途端に緊張しちゃうんですよ」と。
 

「Noのバックトラッキング」についても、「バックトラッキング【NLP実践集】うざいを脱却する観点」で紹介しておりますので、こちらのページをご覧ください。
 

効果のあるイエスセットの使い方


ここからは、

  1. 必ず「イエス」
  2. バックトラッキング
  3. 推測

これらの話法を用いて、どのようにイエスセットを行っていけばよいのかについて説明していきます。
 

「イエス」の質

相 手:「今、あなたは私の質問を読んでいますね?」
あなたYes
相 手:「あなたは日本語が読めますね?」
あなたYes
相 手:「学校で国語を習いましたね?」
あなたYes

上の例文は、2.「バックトラッキングは使えない?」の質問①から③の再掲です。
あなたが実際にこのように話しかけられたら、どのような感じがしますか?

この会話例では、表面上「イエス」が続いています。
ですが、気持ちのよいやり取りではありませんね。
 

なぜなら、いくらイエスが続いていても、質の低いイエスばかりだから。
イエスと言わされていると表現すれば、わかりやすいでしょうか。


もうお気づきかもしれませんが、イエスには質があります。

  1. はい(当たり前でしょ?)
  2. そうなんです!(よくわかりましたね)
  3. そうそう、そうなんですよ!!(どうしてわかるんですか⁉)

レベル1からレベル3まで、言葉で表すとこのような感じでしょうか。
なんとなく、イメージがつくでしょうか?

そして、当然、相手から引き出したいのは、レベル3の「そうそう、そうなんですよ!!」という質の深い「イエス」です。
 

「イエス」の量


一方で、「イエス」の量にも気を配る必要があります。

ですがそれは、3回連続などと数で測るものではありません。
そうではなく、会話全体で「イエス」が繰り返される。
そんなイメージです。
 

想像してみてください。

会話の最中、あなたの心が、

  • 「そうです。そうです。そうなんですよ! そうそう。そうなんです!!…」と続いていく
  • 「いや。違います。いや、だから、そうじゃなくて…」と続いていく

この二つの違いを。


断然、前者のイエスが続く会話の方が気持ちよいですよね。

ですから、会話の初めから終わりまで、相手の心の中で「イエス」が繰り返されるコミュニケーションを心がけましょう。
回数など数えなくても、結果的に「イエス」の量が大いに増しますね。


 

イエスセットを効果的に行うには?


「イエスの質も量も大切なのはわかった。でも、できるかな…」
もしかすると、このように感じていらっしゃることと思います。


大丈夫。
安心してください。

それには、バックトラッキングが本当に役に立ちます。
バックトラッキングをしながら、相手を感じて、少しずつ推測していきましょう。

推測が外れて「No」が返ってきても大丈夫。
すかさず、Noをバックトラッキングしましょう。
すぐに、「イエス」が返ってきます。


そのようなコミュニケーションをすることで、自然と相手の話したいことが話題の中心となっていく会話になるのです。
 

イエスセットはラポールを築く技術


「そうです。そうです。そうなんですよ! そうそう。そうなんです!!…」と続いていく会話。

そのようなとき、あなたなら、その相手にどのような印象を持ちますか?

「ああ、この人は私のことをわかってくれる」
そのように感じるのではないでしょうか。
 

そして、「わかってくれる」と感じたとき、人は警戒の心を解きます。
他者といるのに、脅かされることのない安心を感じるのです。


実は、これがラポール。
つまり、イエスセットは、相手にイエスと言わせる技術なのではく、ラポールを築く技術なのです。


 

イエスセットを恋愛に活用する


イエスセットは、あらゆる場面で役立ちます。
今回は、恋愛の場面で考えてみましょう。
 

前提として、イエスセットでよく誤解されがちな「相手を言いなりにさせて、こちらの要求にイエスと言わせる技術」という思い込みを捨てましょう。
そうではなく、イエスセットはラポールを築く(深める)技術でしたね。

信頼できる、親密な関係性になる。
そういう関係性が築かれるから、結果として、あなたの望み(デートしたい、交際したい、結婚したい)が実現しやすくなる。
このような理解でいてください。
 

初対面の相手

積極的に話してくる相手


積極的に話してくる相手の場合、イエスセットはそれほど難しくありません。
相手の話に適宜バックトラッキングをしながら、時折その話題を深める話しかけをしていけばよいでしょう。

相 手:「僕、車が趣味なんです」
あなた:「車がお好きなんですね」【バックトラッキング(事実)】
相 手:「そうなんです。子どもの頃から大好きで、モーターショーに行ったり、雑誌を買ったり、時間もお金も車に注ぎ込んできました」
あなた:「車が大好きなんですね」【バックトラッキング(要約)】
相 手:「そうなんですよ~。考えてみると、車ばっかり追いかけてきた人生でした…」
あなた:「なんだか寂しそうに見えますよ」【バックトラッキング(感情)】
相 手:「ああ、そうですねぇ…車ばっかり追いかけてきたもんだから、この年になっても独り身で…」

このように見ていくと、バックトラックがいかに大切なスキルかがお分かりいただけると思います。
日常、様々な相手との関わりを通して、効果的なバックトラッキングを身につけていきましょう。
 

内気な相手


一方で内気な相手、あまり口を開かない相手の場合を考えてみましょう。

この場合も、やはりバックトラッキングが基本となります。
ですが、相手から話し出すことが少ない分、あなたから質問をしたり、話題を切り出していく必要があるでしょう。
 

では、どのようなことを切り出していけばよいのでしょうか?

天気でしょうか?
時事ネタでしょうか?
それとも…?


実は、話題は何でもよいのです。
ただ一つのポイントは、相手にとって価値のある話題ということ。

「そんなの当たり前じゃないか」という声が聞こえてくるかもしれませんね。
確かに、当たり前です。
そして、だからこそ大切なことなのです。
 


初対面の相手となると、どうしてもお互い緊張してしまうものです。
相手が内気な場合、ますます「話を弾ませないと!」とがんばってしまいがちです。

結果的に、質問を繰り返すことで、まるで尋問しているみたいになったり、互いの興味があるわけでもない話題を持ち出しては、気まずい沈黙が繰り返されるということが起こります。

もしかすると、あなたもそんなご経験があるもしれませんね。
 

それを避けるためには、目的を見失わないこと。
話を弾ませるのが目的なのではなく、イエスセットを用いてラポールを築く(意識の警戒レベルを下げる)のが目的だということです。


では、このことを踏まえて、実際の会話例を考えていきましょう。

あなた:「はじめまして。○○です」
相 手:「はじめまして」

   ・・・沈黙・・・

「気まずい雰囲気だ。何とかしないと!」
これまでだったら、何を話せばよいのかと自分の頭と対話したくなる場面ですね。
でも、ここでは意識を、自分の思考ではなく相手に向けますよ。
 

相手の様子を見て、相手を感じます。

そして、感じた相手を言葉にしていきましょう。

あなた:「はじめまして。○○です」
相 手:「はじめまして」

    ・・・沈黙・・・

あなた:「なんだか緊張しちゃいますね」

どうですか。
きっとイエスが返ってくると思いませんか。


このように、相手を感じることが大切です。

服装、表情、言葉遣い、姿勢…
あらゆる情報を頼りに推測していくのです。

そのためには、観察力や共感力、想像力を磨いていく必要があります。
これこそ、本当のコミュニケーション能力ですね。
 


 

慣れ親しんだ相手


イエスセットは、初対面の相手だけではありません。
慣れ親しんだ相手にも有効です。

慣れ親しんだ相手ではなおのこと、相手の好みや大切にしていることはわかっていることでしょう。
その相手が大切にしていること、感じていることが、自然と話題の中心になるように、イエスセットを用いて会話していきます。


もう一度想像してみましょう。
「そうです。そうです。そうなんですよ! そうそう。そうなんです!!…」と続いていく会話を。
心地よいですよね。
 

相手を大切に思っているなら、その思いを言葉だけではなく、相手に実感してもらった方がよいですよね。

慣れ親しんだ相手でも、イエスセットの使い方は変わりません。
バックトラッキング、そして推測を用いながら、「イエス」をたくさんもらいましょう。
言葉だけでなく、相手の心の中で「イエス」となるだけでも、十分効果的ですよ。


注意点としては、Noが返ってきたとき。
慣れ親しんだ関係だからこそ、甘えが出て、NoにはNoで返しがちです。

相手からNoが返ってきたときは、すかさずNoをバックトラッキングしていきましょう。
 


 

イエスセットをセールスに活用する


今度は、イエスセットのビジネスでの活用を考えてみましょう。

具体例


あなたは車のセールスです。
お客様が話しかけてきました。
イエスセットを活用しましょう。

お客様:「すみません、こちらの車なんですけど…」
あなた:「そちらの車ですね」
お客様Yes
あなた:「タイヤが4本ついていますね?」
お客様Yes
あなた:「ハンドルもついていますね?」
お客様Yes
あなた:「今すぐお買い上げですね?」

いかがでしょうか。
これでは、相手にイエスと言わせようとする間違ったイエスセットになってしまっていますね。
そして、実際に、買ってはもらえないでしょう。
 

では、どのようにすればよいのでしょうか。
大切なのは、相手を感じることでしたね。
それを踏まえて、下の活用例を見てみましょう。
 

お客様:「すみません、こちらの車なんですけど…」
あなた:「そちらの車にご興味がおありなんですね」
お客様Yes
あなた:「今、乗っていらっしゃるのは○○ですよね?」
お客様Yes
あなた:「何か調子でも悪いのですか?」
お客様「そうなんですよ。実は…」
      
もしくは、
    「いえ、調子が悪いわけではないんですけど、実は…」

ラポールを築くイエスセットを用いることで、お客様が、お客様の事情・本音を自然と話すような会話の流れになっています。
おわかりいただけるでしょうか。
 


 

本音をお客様に口にしてもらうのが近道


今どきのお客様は、基本的に売り手の前では本音を言いません。
なぜそうなってしまったのでしょうか?

きっとそれは、一般的なイエスセットの活用例にもあるように、「とにかく売れればいい」という風潮がはこびってしまい、お客様が最初から疑いモードになっているからではないでしょうか。
「油断してたら、変なもの、高価なものを売りつけられてしまう」と。


昔なら、ゼロから信頼関係を築けた売り手と買い手。
しかし、今や買い手の不信感が高まっています。
売り手が話しかけた途端、買い手の意識の警戒はマックスまで高まるといってもよいでしょう。

売り手にとっては、通常の関係以上に、ラポールを取るのが難しい状況です。
お客様がひいている、マイナスの状態から始めなくてはならないのですから。

 

そんなお客様の、凝り固まった不信感を解消していき、ラポールを築いていく。
そのためのスキルが、イエスセットなのです。


ラポールを築くイエスセットをマスターするには、まずはバックトラッキングを習得することから始めるのが、近道でしょう。

<関連記事>バックトラッキング【NLP実践集】うざいを脱却する観点

 

まとめ


イエスセットは相手を思い通りにする技術ではない。
そうではなく、ラポールを築く技術なのだという観点でご紹介してきました。
そして、そのためには、「イエス」の量と質、どちらも大切です。

「イエス」の量は会話全体で。
「イエス」の質は、観察力や共感力、想像力を磨いて、相手を感じることで。
 

コミュニケーションで最も大切なのは、技術ではなく心構えです。
心構えが自然と養われるような技術トレーニングをしていきたいですね。

その意味では、何を学ぶかではなく、誰と学ぶかが大切になってくるのでしょう。
 


日本実践コミュニケーション心理学協会では、

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執筆者:日本実践コミュニケーション心理学協会理事 高島昌彦

【執筆者】
高島 昌彦

 

高島昌彦のプロフィール
  • 元航空自衛隊嘱託外部カウンセラー
  • 元国立大学附属特別支援学校教諭
  • カウンセリングMaNa 心理カウンセラー
  • JPCPA理事

 

教育学部にて自閉症を中心とする発達障害を専門に学び、大学卒業後は、国公立の特別支援学校教員として14年間勤務。

在職中に人間関係のストレスからうつ病を発症し、退職。

同じように苦しんでいる人の手助けをすべく、心理カウンセラーとして独立。
それと共に、自らうつ病を克服した際に用いた心理学、コミュニケーション学を応用し、独自の「必ず役に立つ、体感できる講座」を体系化する。

また、カウンセリング技術研修では、自らの経験から「苦しんでいる人が本当に必要としていること」を第一に、人の心の仕組みの深い理解、プロとしてあるべき意識の持ち方、そして必要不可欠な技術が網羅された、熱い中にも人間味のある講座を展開。
その人柄と他に例を見ない内容から、日本各地で絶大な人気を誇る。
 

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